【悪の華】漫画版で考察すべき部分が多すぎる件について

どうもこんにちは春日(嘘)です。

今回は惡の華に登場する様々な謎な部分を考察していこうと思います。登場キャラが時々見せる含みのあるセリフや、一見しただけでは意味のわからないシーンが多く登場します。

気になってはいたのですが、なかなかここに着目できてはいなかったので、今回は私が疑問に思った部分を考察していこうと思います。

用語解説

「クソムシ」

初登場は第1巻、第1話。

仲村佐和が担任からテストを返却されるときに、担任の目を見て言った言葉です。

惡の華の中では何度も出てくるこの言葉ですが、これは暗に彼らの住む街の人を指す言葉であると思います。仲村さんは自分以外の存在をつまらないもの、何の変哲も無い普通の日々を普通に過ごせるクソみたいな存在であるとか萎えています。

まあそれが普通なんですが、それが嫌で嫌で仕方なかった仲村さんは、次第に周りの人間を人間とはおもわなくなり、仲村さん以外の人物をクソムシと形容するようになりました。

つまるところ、仲村さんが理解できない「普通」を普通に享受できる人間のことをクソムシと呼称しているのです。

「向こう側」

佐伯さんの体操服を盗んだ春日の犯行を目撃した仲村さんは、他のクソムシどもとは違う、自分と同じであると考えるようになります。正確には春日と仲村さんはだいぶ違う存在なのですが、二人とも他人と同じになれないという点では双方が変態であると言えます。

そして仲村さんが春日に、山を越えていけと命を下します。

時々「向こう側」というワードが出てきますが、これは変態であるという自覚を持ち、自分たちはこの街のクソムシでは無いという確信を持った状態に達するということを指すと考えられます。

しかし彼らが言う「クソムシ」とは、いわゆる普通の人のことを指すので、彼らが「向こう側に達する」と言うことはつまり、普通とは異なる存在になること。すなわち真の変態になることを指します。それがいいことなのかどうかは彼らにしかわかりません。

「変態」

もうお分かりの通り、仲村と春日は中二病。

自分を普通では無い存在と自覚したい、そして客観的にもそう思われたいという気持ちが強くなり発症した中二病。しかし春日と仲村さんの中二病は大きく性質が異なります。

仲村さんは心の底から周りの人間をクソムシであると考えており、そのため言動に手加減がありません。春日の父をバットでフルスイングしたり、教室をボロボロにぶっ潰してみたり。自分が興味がないもの、認められないものがいわゆる「普通」であると認識したくないがために、その言動は異常に見えてしまいます。

一方春日の中二病はいかにも記述してますが、ある種意識的なもの。

もともと春日の中二病のレベルはそこまで高くなかった。ただ単にキャラ付けとして「難しい本を読んでいるインテリ文学少年」という設定を作ったのです。これは一般的な中二病の症状である、定められし因果により右手が急にうずいたり、世界が悲鳴を上げる音に涙を流してみたり、そんなものと同じようなもの。

すなわち、自分で「設定である」ことをわかっている状態です。

のちに春日は自分で本を読んでいるけども内容はわかっていないと言ってます。つまり彼は自分が他人とは違う存在であることの証として本を読んでいるだけなのです。そしてその次に見つけたアイデンティティが、仲村さんというやばい女に見初められたオレ!というもの。つまりこれが「変態」なのです。

ですので春日の変態と、仲村の変態は全くの別物と考えていいでしょう。

キャラごとの感情

春日高男と佐伯奈々子

普通に異性として好き、ということは間違いないけども、それは単に春日の理想の女性像というだけの存在です。

春日は自分に自信が持てず、他人と比べて自分のアイデンティティが弱いことに劣等感を感じています。だからこそ自分のアイデンティティとして「読書好き」な少年を演じていたのです。

このように自信が持てない中で佐伯さんは春日の心の拠り所であり、女性として好きになったものの、生身の人間として接することにも自身が持てていません。だからこそ佐伯さんに、「触って、あたしは人間なんだよ」と言われました。

つまり、理想の女性像であり、女神で、ミューズではなく、佐伯菜々子として、佐伯菜々子を見ていなかったのです。だからこそ実際に触れ合うことを恐れ、終始佐伯さんとの直接的な接触を避けていたのです。そしてそれは佐伯さんにも気づかれており、そんな春日に避けられる日々を辛く感じていました。

その後も自己のアイデンティティとして、仲村佐和に授けられた「変態」を捨てきれず、自分ではなく仲村に傾倒する春日に我慢ができず、河原の秘密基地での行為に走ったということです。

佐伯さんと仲村佐和

基本的には佐伯さんからの仲村さんへのジェラシーがほとんどです。

佐伯さんは人生はじめて春日に「生身の自分を人間として見てもらえた」ことで舞い上がり、純粋でプラトニックな恋愛を望んでいるのですが、先に述べたように春日は生身の人間として見ていません。

そして中村さんに命じられたから、ということもあり、春日はさらに佐伯さんとの距離が離れていきます。それは春日の「自分なんかに人を愛する資格も能力もない」という弱い心が原因なのですが、佐伯さんもじきにそれに気がついていきます。

理由がわかったところで佐伯さんに残ったのは、「なんで中村さんなの?」というジェラシー、そして仲村佐和に勝てないという劣等感、悔しさです。

そのため春日が彼女である自分ではなく仲村に持っていかれていることに対するいらだちが終始描かれており、中村さんはそんなのどうでもいい、と表面上は振る舞っています。

しかし佐伯さんと春日が半ば強引に結ばれたことを知った中村さんは佐伯さんを抱きしめます。そしてこのときのことを佐伯さんは後にこのように語っています。

佐伯さん「中村さん、私を抱きしめたとき、震えてたよ。私と春日くんがセックスしたって知って。不潔だって思ってたんだよ。」

つまり中村さんも春日に対して特別な感情を抱いており、それが震えとなって現れたということです。

ですので中村さんも春日に対して以下のような感情を抱いています。

仲村佐和と春日高尾

先に述べたように、春日は自己のアイデンティティを探すことに一貫しており、それが周囲から疎まれている仲村佐和と
一緒いられる「変態」の自分。何もないことはわかっているからこそ、何かを持っている仲村佐和に依存してしまうのです。

一方で、悪の華最大の謎多き人物である仲村佐和の心情はかなり難しく、終始変態として描かれています。

中学時代の仲村佐和は、周囲の人物がすべてハエのように見えており、それに対して嫌悪感を抱いています。結果的に「クソムシ」「肉蠅」などの汚い言葉で罵ることが多かったように感じます。

これは思春期にありがちないわゆる中二病の延長線上にある状況だと推測していますが、中村さんが統合失調症であるという説もあります。春日くんの仲村に対する心情はまだ理解しやすいかと思いますが、その逆は難しいです。

最終回ですべての人物がハエ人間として描かれていた理由として、①精神病の類であり実際にそう見えていた、もしくは②閉塞的な地域にいる人間を猛烈に嫌っていたという比喩であるという説があります。

私は個人的には②の説を推しています。

仲村さんは大人に対して強い嫌悪感を抱いています。

性交に勤しむ大人を見てしまったなどの過去にトラウマがあるのではないか、その結果として性行に興味のある人物すべてを敵視するようになり、結果的にあのようなハエ人間として描かれたのではないかと思われます。

そして春日はそんな「性交には興味ないよ!(ホントは興味津々だけど!)」的な全身皮被り人間たちの中にありながら、自分の欲望を隠さない変態であることを見抜き、自分とは違うタイプではあるけれども、唯一自分と同じ変態性を見いだせた人物であるという点で、春日に対しては同胞意識があるのかもしれません。

佐伯さんが春日に迫った理由

そして惡の華最大の見せ場である、佐伯さんと春日の性行シーンです。

佐伯さんの初登場時の絵に描いたようないい子な姿から考えると完全に別人。あんな行動をするような子ではなかったのですが、それでも結果が全て、佐伯さんは春日と強引に結ばれることに。

この行動原理は2つ、①仲村への復讐、そして②春日の目を覚まさせたかったから。

この2つは関連しており、そもそも佐伯さんは春日の告白に「本当の自分を見てくれた」ところに感銘を受け、付き合うことになりました。大事に付き合っていこうって言ったのに、なぜか春日は自分ではなく仲村さんと性交の話をしている。

そして自分ではなく仲村のところへと向かう。こんな状況下で佐伯さんは女としてのプライドが傷つき、仲村に対するジェラシーが最高潮に達し、そして春日を奪い返すためにあのような行動に出たのです。

また2人が結ばれたあの秘密基地にて、性交後に言ってましたね。

「春日くんはね、仲村さんに逃げてるだけなの。

この町で生きるのが怖くて、まっすぐ前を向けなくて、だから仲村さんみたいな後ろ向きの女の子に甘えてるだけなの。

でももう大丈夫。私が春日くんのこと受け入れてあげたから。ちゃんと一緒に前を向いてあげたから。もう仲村さんは必要ないの。」

これをスカートの間から血を流し、そして笑顔でこれをいう佐伯さんには狂気すら感じました。流石にここまですれば仲村には勝てるだろうとの算段だったのでしょう。さらには春日に対する俯瞰もおそらく正しいのです。

春日は自分に自信が持てず、冒頭の「変態」にこだわっている。そしてその「変態」を春日は知らない。だから仲村さんに教えてもらうために仲村さんに自分のアイデンティティを求めているだけ。だから仲村に執拗にこだわったのです。

佐伯さんはここまでわかった上で、それでも春日を受け入れる旨の発言をしています。にも関わらず春日は「仲村さんが好きだ」なんて見え見えの嘘をつき、やはり仲村さんの元へと逃げてきました。

まーだ自己洗脳解けないのかこいつは・・・

きっと佐伯さんはこう思ったことでしょう。

彼、春日くんの目が覚めるのはここから数年後、高校時代の千葉県銚子市なのです。佐伯さんがかわいそうに思えてなりません。

【悪の華】佐伯さんがかわいそうなシーンを考察してみる

仲村が春日を突き飛ばした理由

惡の華中学生編のフィナーレ。夏祭り編での出来事。

全てを終わらせるべく、仲村と春日は夏祭りで放送をジャックし、大衆の面前で自らの人生を終わらせるべく行動に出たのです。頭から灯油をかぶり、そしてライターに火をつけた仲村さん。そして「行こう、仲村さん」と呟いた直後・・・

仲村さんは春日を突き飛ばし、やぐらから突き落とし、「私は一人で行く」と呟き、ライターに手をかけたところで仲村さんの父に取り押さえられ、2人とも無事に救出されたということです。

そしてここの謎は他にも比べて長いので、ここは別記事でご紹介しようと思います。割と単体で長くなりそうなので、以下のリンクからご覧ください。またこのリンクは、当記事の最後にも貼っておきますので、後ほどご覧いただくことも可能です。

→【惡の華】夏祭りで仲村さんが春日を突き飛ばした理由を考察

中村さんが佐伯さんを抱きしめた理由

最後になりますが、河原での火事を見ながら仲村さんに佐伯さんが女の戦いを仕掛けるシーン。なぜ敵対する佐伯奈々子を仲村佐和は抱きしめたのか、という謎。これの理由は以下の2つであると考えます。

①佐伯さんの勝利を阻止すること。

②佐伯さんの本音を引き出し、痛恨の一撃をクリティカルヒットさせること

だと考えられます。

それでは順を追って説明していきます。

佐伯さんの「春日とやった」という会心の一撃を食らった仲村さんは、「だから何?やりたきゃ勝手にやれよ、どーーーーーでもいいよ。」と一蹴。

佐伯さんは春日の深層心理を理解し、なぜ春日が仲村に固執するのかを述べ、それを自分でも理解していない春日に苛立ちを覚えています。仲村さんもこの時点ではすでに薄々とそれに気づいていたはずです。

そしてこれ以上ないほどに仲村さんにダメージを与えたと思ったものの、仲村さんにゆるりとかわされたことで劇場した佐伯さんは、「くやしいでしょ?くやしいって言いなよ・・・!」と問い詰めると、仲村さんが佐伯さんを突然抱きしめ、佐伯さんは号泣、そして名言の登場です。

佐伯さん「どうして、どうして私は仲村さんじゃないの!?」

ここまで言わせる春日、真のクソムシですね。

しかしここで気になるのはなぜこの時仲村さんは佐伯さんを抱きしめたのでしょうか?仲村&春日からしたら佐伯さんは敵であるはず。ここで抱きしめるという行動はすなわち、仲村さんによる佐伯さんへの攻撃なのです。

この時佐伯さんは春日を取られた悔しさが強く、春日への愛情よりも仲村へのジェラシーが強かったと思われます。そのため強引に春日と結ばれ、それを仲村に見せつけることで仲村を悔しがらせて「女としての勝利」をつかもうとしていたと考えられます。

佐伯さんの勝利とはすなわち仲村さんが悔しがるところを見ること。

それを逆読みしていた仲村は、佐伯の思い通りにはならず、佐伯さんは怒りをぶつける対象に逆に優しく抱きしめるという行動に出ました。これにより佐伯さんの怒りは行き場をなくし、敵視している相手、仲村の目の前で号泣してしまいました。

自分に対して敵視してくる相手を逆に優しくすることによって、相手の戦意を失わせる作戦だったと考えられます。

またこの直後に佐伯さんは「どうして私は仲村さんじゃないの!?」と本音を出したことに対して仲村は「・・・やっと吐き出したね。でもお前の中身はハエよりただれてるよ」と痛恨の一撃。

このような理由で仲村さんは佐伯さんを抱きしめたのだと思います。

まとめ

正確なことは押見修造さんしかわかりませんが、以上のことが原作から理解できた内容になります。

他の冒険漫画やファンタジー漫画とは違って、「惡の華」はドキュメンタリーです。中二病を患ったことのある人ならば誰でも共感できる内容もあり、その一方で理解できない部分もあります。私自身中二病にかかった!という実感はありませんが、もしかしたら人によってはそう取られていたのかもしれません。

「惡の華」には他にも考察が必要な部分がありますので、読み直して気になった部分があれば再度追記していきます。きになる部分があればコメントをいただければおかえしします。ですのでコメント欄もぜひご活用ください!

それでは、長々と読んでくださりありがとうございました!

→【惡の華】夏祭りで仲村さんが春日を突き飛ばした理由を考察

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