【血の轍】伏線になっている部分を考察する【静一の部屋に入る条件】

どうもこんにちは春日(嘘)です。今回は、「血の轍」の伏線になっているであろう部分をまとめていきます。

押見氏の作品は長くとも10巻前後で完結することが多いことを考えると、そろそろ完結することが考えられます。そのため現在第8集まで出版されていることを踏まえると、そろそろ完結すると思われます。

また押見作品によくある、名言はしないけど登場人物の精神状態を表すメタファーが数多く存在します。それを理解することで作品をより深く理解できることでしょう。

血の轍の中の伏線

静子の親戚関係

そもそも長部静子は親戚関係が嫌いであり、それがしげるを突き落とした原因の1つです。

【血の轍】なぜしげるを突き落としたのか理由を考察してみる

しげるを突き落とす直前のシーンを描いた1コマがあり、それが静子と長部家の面々との精神的距離感を表しています。

 

親戚たちと静子・静一の距離が示されていることがおわかりでしょうか。

親戚の話の輪に入れていないのがわかると思います。時折静子の言う「静一がいるからこの家にいる」ということもここでわかると思います。こう見るとよくわかりますが、意識的に距離をおいているのか、置かなければいけなくなってしまったのか、いつから置いているのかわかりませんがこれが結果。

こうなってしまってはここにいたくないと思っても不思議ではないでしょう。

肉まんとあんまん

肉まんとあんまん、どっちがいい?

毎日のように静子が静一に朝はんを選ばせていますが、実はこれも伏線なのです。過保護にすることはすなわちその子が何かを決める力を奪うこと。つまり静一は朝はんに何が食べたいかすら考えることはできなくなっているのです。

作中では彼が肉まんを選ぶ時は静子に距離が近いとき、あんまんを選ぶ時は静子から距離をとっている時という精神的な距離感が描かれています。ちなみにあんまんを選ぼうとしたことはありましたが、結果的に静子への恐怖で肉まんへと変更しました

 

肉まんとあんまんの他に、一度だけサンドイッチが出たことがありましたが、この時は静子にとって特別な日だったのです。

【血の轍】肉まんとあんまんの質問は静子の洗脳方法だった 

静一の部屋

静一の部屋は、静一の精神的なサンクチュアリとして機能しています。

そのためここに入ることのできる人物は、彼に親しい存在のみ。作中で彼の部屋に入ったことのある人物は3人。しげると静子、そして吹石です。前者2人は身内のためもともと静一の部屋に入ることができても不思議ではありません。

基本的に静子はノックもせずに静一の部屋に入ってきていますが、後に静一に拒絶されたときにはノックをしているシーンがあります。ですので静一の部屋というのは彼との距離感を表しており、静子との距離感は日々変わるために、部屋に入る容易さが変動しています。

そしてそこに入った唯一の部外者として吹石がおります。後に彼女とは付き合うことになり、その後別れますが、依然として静一も彼女のことを気にかけていることもあり、いずれまた何かしらのかたちで関わることが予想されます。

吹石由衣子との距離感

 

「血の轍」のテーマは毒親ですが、それ以外にも主人公・静一の心の成長もあると思います。

それは「惡の華」の春日高男との関連や共通点が多いことからの考察ですが、おそらくそれもあると思います。春日も佐伯菜々子、仲村佐和、常磐文という魅力的な女性たちとの出会いを経て、単なる中二病から真人間へと大きく成長します。

同じように静一も吹石由衣子、そして母静子との関わりを経験した結果として大きく成長を遂げることが予想されます。なので一度は裏切ってしまった吹石由衣子ですが、きっとまた彼女とは心身ともに大きく成長し合えるような関係に戻ることを期待しています。

【血の轍】吹石と長部の今後の関係はどうなるか考察してみる

静子と静一の距離感

最後になりますが、静一の成長に最も関係のある人物が実母の静子です。

静一は静子により甘やかされた結果、マザーコンプレックスであることが目下の課題となっています。母を大事にすることは人間として重要だと思いますが、少しニュアンスが大事です。自分で決断を下すことも人間として非常に重要な魅力です。

何をするにもママの判断がいるのであれば、自分の意志はどこにあるの?と思ってしまいます。

いわゆる優柔不断の極みのような存在である静一は、同年齢の方々見たらどう映るのでしょうか?かつて私の友人が好きな女の子に告白した時、「○○のことは好きだけど、ママに聞いてみないとわからない。うち付き合うの禁止されてるから」と言われた事があると聞いたことがあります。

正直萎えますよね。そんな事言われたら。

だってこっちは本気で好きだからこそ体当たりで告白しているわけですし、なのに向こうは自分の気持ちではなく判断を他人に任せるというのは、真っ向からぶつかってくれてないと思わざるを得ません。

好き嫌いの判断や、付き合うかどうかの判断くらいは自分でしてくれよと、思ってしまいました。(本当に友人の話ですよ?)

なのでママの一存で付き合うとか別れるなど愚の骨頂。ほんとに好きならば家族の反対を押し切ってでも吹石由衣子との交際を続けるべきだったのに、と思います。静一も母との距離感に悩んでいることでしょうが、最終的にどんな関係になるのか気になります。

まとめ

このように静一を取り巻く環境は静子を筆頭に頭を悩ますものが多いのです。

しかしいつものように、静一が頭を悩ましている対象を名言、明示したりすることはなく、肉まんとあんまんや静一の部屋などの描写を通してメタファーとして描かれています。だから分かりづらいのですが、それがいいところでもあります。

現代文が苦手な高校生には「血の轍」や「惡の華」を読ませようと思います(笑)

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